現代のリアル下克上 アイルランド史

2019.07.02

海外視察13カ国目はアイルランド
今回はあまり馴染みのないこの国『アイルランド』の歴史を紹介したいと思う。
アイルランドを語るにあたりイギリス無しでは語れない。
どれだけイギリスにイジメられた歴史かということだ。
つい20年前まではアイルランドはヨーロッパの最貧国と呼ばれていたのも
このイギリスにイジメられていというのが大きな要因である。
簡単なアイルランドの歴史
1イギリスの領土としてのアイルランド
イギリスのアイルランドに対する植民地化を目的とした侵攻は12世紀後半から始まっていた。
そして、17世紀には完全にイギリスに支配され、1801年には併合される。
併合されたアイルランドは小麦が取れるが、小麦は全てイギリスに上納しないと行けない。従って国民はジャガイモしか食べられない。
2ジャガイモ飢饉
1840年ジャガイモが感染症にかかり国から消える。それでも小麦はイギリスに上納しなければならない。これにより800万人いた人口のうち100万人が餓死して、200~300万人がアメリカなどへ移住。国の人口が半分になる。
※現在の人口も400万人ちょっとなので回復してない。
ちなみに、現在海外在住のアイルランド人は、世界に700万人
国外へ移住したのは多く見ても300万人なので単純に400万人が増えている。
やっぱり変化に強い人の方が繁殖力強い。
3、独立運動始まる
上記の事件以降、イギリスへのテロが頻繁に起こる。20年前まではアイルランドのことをテロ国家だと思っていた日本人も多いのではないだろうか?
転機がおとづれたのは世界大恐慌。
イギリスのブロック経済施策の一環として、独立を獲得するが、植民地のまま。
4、ケルトの奇跡
アイルランドが自力により大きな転機を向けたのは、ケルトの奇跡やケルトの虎と言われる10年間の経済成長。
これらは以下の2つの要因が偶然重なり大爆発を起こす。
①外資企業の誘致
1997年にインターネットの普及時に、外資企業への税金を優遇する事により、アメリカ系のIT企業がヨーロッパへの進出の拠点として英国圏でもあるアイルランドを活用。BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などで雇用も生まれ発展を果たす。
②金融業の成長
イギリスがユーロを国のお金として使わなかったので、初期からユーロを使っていたアイルランドが、ヨーロッパで唯一の母国語が英語圏の国として世界中の金融機関が集まり発展。
この2つの要因による経済成長のおかげで、ヨーロッパの最貧国でありテロ国家として悪名高きアイルランドが、たったの10年で1人当たりGDPにおいてイギリスに並ぶだけではなくそのまま追い越し、現在では世界5位の経済成長を果たす結果になる。
5、急成長の弊害
2008年のリーマンショックで大ダメージ。国民から国が急成長を止めなかったから、こんなにバブルが弾けたみたいになったんだ!と怒られる。
リーマンショック後も堅実に経済成長を行ってはいるものの、前回のバブル崩壊から学んだ政府は、簡単に住宅を買えない様にした。
簡単に新しい家を作れないので、ほとんどの国民が賃貸物件に集中し、賃貸の家賃が高騰し住めない人が爆発。
ダブリンの中心から30分くらい離れた郊外で4LDKのマンションの家賃25万円。毎年4%上限だが上がり続けるのは確定。
《現在の国の対策》
エアビー専用として部屋を使っている物件が多くそれが故に賃貸物件に限りがで家賃上昇に寄与している為エアビー専用としての部屋の使用を規制。
家賃の値上げを年4%までと上限設定。
国営の賃貸物件を建設などなど、色々動きはあるものの課題が山盛り。
上記の成長の仕方として、イギリスがユーロを採用しなかった事は完全な偶然であり考えないとしても
外資企業を誘致して成長を果たすという方法は、企業の急成長の方法とかなり類似している。
以前に私が勤めていた船井総合研究所を例にあげても、同じような成長をしていたのだ。
《船井総研の成長の歴史》
船井総研では、船井幸雄という1人のスーパーマンによる完全ワンマン企業だった。人は平均して4〜6人の人しか完全には見切れないと言われており、この4〜6人の単位で組織を作って行くのが基本とされている。しかし、このスーパーマンは1人で250人までを掌握した。売上も全て1人で稼ぎ250人に分配していた。しかし、そんなスーパーマンも250人が限界であり10年間横ばい成長を続ける。
そんな停滞期間に第二成長を果たすきっかけになったのが大きな報酬を元に外部の優秀な人を採用するという施策だ。
具体的には1人の社員の冬のボーナスだけで1700万円払いそれを本にするなどの告知をする事により
ハングリーで優秀な人をかき集めた。この施策により社員数は250人から500人を突破。
つまり、もしもあなたの企業が急成長を求めるのであれば、頑張ったら頑張った分だけ報酬をもらえるように、さらにその貰える率も割の良いのにすれば良いという訳だ。
そして、船井総研でも500人を超えたあたりからアイルランドのような急成長の歪みは起こった。
自分だけが儲ければ良いと考える程度の低い人も多く集まるようになったり。
優秀な人は独立してしまい会社に止まらないため、従業員数が600人前後で横ばい成長になる。
この頃の優秀な人は船井総研のことを最終学歴くらいにしか思っていなかっただろう。
しかし、この辺りの問題を解決すると5年足らずで現在は1100人を超えるまでに再成長し、売上も約70億円から200億円を超えるようになった。
このアイルランドからは組織の急成長の仕方は、企業も国も一切変わらないことを学んだ。
国、企業、家族、個人、宗教、これらが上手く回る秘訣は全ては同じ組織論なのである。
※この様な事例を見聞きする際は、タイミングを良く確認して欲しい。自社の会社や組織が上記で言う時の社長1人で頑張るシテージなのか?優秀な人を集めるステージなのか?優秀な人が滞在しやすくするステージなのか?良くあるのはどこかのステージの話だけが世の中を巡り、自社とタイミングが違うのに採用してうまく行かないと言う事だ。
私は以前より、「本質」とは『シンプル』で『万能』であると考えている。
組織論を考えるにあたり、どの単位の組織においても有用な慣習(ルール)は本質的であり、どこかでしか通用しない事は全て枝葉であり、イレギュラーな事であり、偽物だと断定している。
これからも、様々な事象を上記の基準に照らし合わせて見ていきたいと思う。
家族で通用している慣習(ルール)が企業や国に適応できないなどありえない。
もしも、どうしても適応できないのであればそれは、本質的に大切な事ではなく偽物である。
従ってすぐに家族でもそのルールを廃止した方が得策だろう。
もしくは家族で行なっている慣習(ルール)が本質だった際は、それで成り立たない企業や国の形を変えなければならないだろう。
さて、みなさんは上記の考えを受け入れる事が出来るだろうか?
一度、自分の家族や企業で同一に通用する慣習があるかまた異なる慣習があるか確認して見てほしい。
慣習は意識していないレベルの事がほとんどだろう。
私はまだこの様な考え方を完全に受け入れられる人にほとんど出会った事がない。
だから、私自身が人生をかけて立証しないといけないと思っている。
追伸:現在テロ国家として見られている国が10年後、アイルランドの様な国になる可能性はあるという事実。

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我時朗(ガジロウ)
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