11月3日

本日はプロダクトデザイナーの江口海里さんにヒアリングさせてもらった。

まず、江口さんから教えてもらったのは①ここ10年の業界の動き②日本のプロダクトデザイナーの地位の低さ

①プロダクトデザインの世界がここ10年で大きく変わってきていると言う事。
 工業デザインだけで食べられる時代は10年前に終わった。
10年前は企業から仕事を依頼されてる先生家業だったが・・・・
今は、企業に顧問契約と言う形でブランディングのコンサルタントとして
入り込みながらその企業の全てのクリエイティブの部分を行っている。
数年前から、東大阪などの町工場の合言葉が『脱下請』だそうだが、実際はマーケティング的な観点は一切なく、良く分からない物を作っているケースが大半だそうだ。そこで、江口さんの様な顧問契約をしているデザイナーと一緒に自社商品を製作すると言う試みをしているとの事。
この顧問契約と言うのが日本のプロダクトデザイナーの雇用を安定させると共に、これまで以上にその企業の強みを引き出し、より良い商品作りに役立っているとの事。
②欧州のインダストリアルデザイナー(プロダクトデザイナー)の地位が高い

これは、欧州が人を家に招くと言う文化があるから家具を自慢すると言う
文化が存在する。だから、家具と言う産業が力を持っている。
それに比べて、日本には上記の様な文化が元々薄い事に拍車をかけて近年は近所付き合いもなくなって来ているため、デザイン性の高い家具などは売れなくなっている。
更に、江口さんは日本の売場にも問題はあると想うと仰った。
江口さんが一番悲しいのは、冷蔵庫などはデザイナーの目から見ても非常にデザインにこだわりのある商品が多いらしい。しかし、家電量販店に売られてる商品には、ポップがベタベタと貼られておりスペックばかり掲載されている。
ミラノの展示会などでは、近所の小学生から散歩中のおじさんまで見学に来るほど人々の生活にデザインが染み付いているのに対して日本にはそれがないためデザイン推しをするよりスペック推しをした方が売れるのは分かるのだが・・・悲しいとの事。
ここで、2つの全く違う話へとぶっ飛びたいと想う。
1つ目は私がホテルのレストランのウェイトレス時代の話。
そのレストランの客単価は1人2万円+ワイン代と言うお店。そこではシェフの人は熱い料理は少しでも熱い状態でお客様に提供しようとするためにお皿も尋常ではないほど熱い。そこで、一旦お皿をテーブルに置くような事をしたら、信じられないほど怒られる。『俺らが一晩前から仕込んだ苦労もお前が最後の味を落としたら元もこもないやろ!!』と!だから、料理もお客様に直接提供していいのは半年くらい働かないと提供してはいけない。
始めのうち我々新人は、料理を運ぶのはお客様に提供する専門の人の元までの中継に過ぎない。
お皿の置く時に音を立てないか?
間違った向きにお皿を置かないか?
料理の食材はもちろん調理方法まで説明できるか?
上記の様な事が最後の味を決めるから、新人にはさせられないとの事。
2つ目の話は、高校野球の練習メニューについて。高校によってはウェイトトレーニングを行っていない高校もある。これは高校の強さは関係ない。強い高校でも無い所も存在する。
しかし、強い高校も弱い高校もどちらにも存在するのはリストトレーニング。どれだけ、走りこんで屈強な足腰をつけ、バッティングの際に下から少しずつスイングと同時に力をバットに伝えていってもリストが弱いとそこで力を止まってしまう。
ここで話を戻そう!
要するに、売場は料理でいう所の配膳であり、バッティングで言う所のリストの役割をしていると想う。
ここで、理想を言えばデザイナーが売場でのディスプレイまで口出しをしなければならない。これを行わなければ、いつまでたってもデザインの価値は日本人に伝わらず、スペックの価格比較による購入の時代からは抜けられない。
そのためにも、デザイナーが命がけで口出しをしなければならないが・・・・
しかし、それほどの地位が無い。
解決策は少ないと想う。
①デザイナー(メーカー)が自分のお店を持ち販売時の品質をコントロールする。
(例)アップルストア)
②小売店が伝えてあげる。その為に作り手に聞きに行ってあげる。そして、その分しっかりと利益を載せて適正な価格で販売をする。
(例)京都のアパレルの伝統工芸のみを売っている『衣』さんなど!
③デザイナー(メーカー)が、小売店がストーリーを説明できるように接客用DVDや説明のパンフレットを容易してあげる。更に、その商品を売った方がどれだけ費用帯効果があるのか資料で提示してまで動かす。
(例)パンフレットまでは家電メーカーなどでは作っているが実際に活用されているかどうかまでは分からない。
上記の案は私が本日、江口さんから話を聞いてふと想った事なのでこれが全てではないと想うし、これが完全な答とも想わない。
しかし、一つだけ言える事は、誰かがこの上記の様な動きを起こさなければ、いつまで経っても日本は物の豊かさの追求は行われても、心の豊かさの追求は根付かないのだと想う。
あくまで、心の豊かさはデザインだけの問題ではないがもっと、小売やサービス業などの最終消費者に一番近い人がストーリーを伝えない限りスペックによる価格分の価値でしか販売できない。
スペックによる価格分の価値以上で物(サービス)を売れる人の事を売る力のある人と呼ぶのだろう。
本日伝えたい事『江口さんが由利佳一郎さんの様な強面な人ではなくて助かった。プロダクトデザイナーってあんなんばっかりやと想ってたからなぁ~(笑)』

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