ネットショップのBPO活用について

2014.11.18

11月13日
成都視察2日目
インハナBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)視察
現在、ネットショップでは少しでも安く買いたいと言うユーザーの当たり前のニーズに応えるべく
『絶賛!価格競争中』が各カテゴリーで漏れなく行なわれている。
そして、価格競争を生き抜いているネットショップは漏れく業務改善を行なっている。
その業務改善の一環として、約10年ほど前からBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と言うものを活用する企業が出てきた。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、日常の営業活動における単純作業の1部分を中国などの人件費の安い地域の人に行なってもらう事に全体の人件費を抑えるものである。
例えば、『商品登録時の画像の加工』や『商品登録時の基本スペックの打ち込み』などが元々主流のBPO内容であった。
そして、現在では月商3000~5000万円のネットショップがBPOを検討しだすのがだいたい流れになっており・・・
また、その様なBPOを早くから実施していた地域の1つが今回視察した、中国の山陸部に位置する『成都』と言う街なのである。
しかし、現在の大きな流れとしては、『成都』の人件費も高騰してきており、BPO先も更に人件費の安い『カンボジア』などに移っていると言うのが
現在の大きな流れだ。
それでは、私は今回何のために、人件費が高騰しだしている・・・少し時代の流れに遅れている『成都』のBPOを視察しに行ったのか?
その理由は、『最先端のBPOのレベル感』を確認するためだ!
アパレルを筆頭に小売店はここ20~15年『製造小売の波が広がっている』そして、この製造小売もまたBPOと同じように少しでも人件費の安い地域で製造するために生産地がドンドン離れて行っているのだが・・・
しかし、アパレルでは既に、このびビジネスモデルの延長上に未来が無い事が明確に明らかになっている。
それは、どこまで離れていってもいずれ、安い地域が無くなれば成り立たないと言う事だ!
そして、基本的にはBPOについても私は『製造小売の生産地を人件費の安い地域で製造する』と言うビジネスモデルと同じ限界が存在すると考えている。
むしろ、ネット上の単純作業では、距離は関係無いので直ぐにアフリカなどの最貧国へ仕事が移る事は明らかであり既に現在『クラウトソーシング』と言う内職のポータルサイトのようなモノがでてきており、本当に安い仕事はそこにお願いするのが一番安く上がる。(自給100円などでも働いてくれる人が山ほど見つかる)
従って、今後のBPOはより高付加価値でなければ依頼する価値は存在しない。
上記の様な思想から、少し遅れている『成都』と言う都市の噂ではかなり進んでいると聞いた『インハナ』と言う企業を視察しに行った。
《インハナで実際に請け負っている主な作業》
①商品登録を仕入先からデータを貰う所から請け負っている。
②受注のメール対応(キャンセル処理まで)
③サイトの売場作りをデザインまで請け負っている。
④在庫の追加発注(季節指数をもとに追加の発注数を仕入先に依頼)
⑤市場調査(価格調査や売れ筋商品をエクセルなどでデータベース化)
上記のように在庫の追加発注までしてしまうのだ・・・
そして、このインハナの人が言うには・・・
『過去と現在の仕事はインハナに頼んで欲しい。そして、日本では未来のための仕事だけに注力する事により更に業績向上に向かって欲しい』
と話してくれた。
実際に日々の業務があるなかで、日本で1日に業績アップのための仕事は2~3時間程度確保するのがやっとと言う会社が多いのではないだろうか?
しかし、その2~3時間も電話や部下からの質問に答えるので本当に集中して効率よく仕事をできているとはいえない時間だ!
そう言う意味では、この様な企業を活用する事は非常にこれからネットショップの企業として他社に優位性を持てる武器になる事は間違いない!
 しかし、やはりBPOを依頼しても上手く活用できずに諦めてしまう企業も多いそうだ!
 そこで、インハナの坂口社長にBPOを活用する際に上手く行かない企業の特徴を教えて欲しいと聞いてみた。
すると・・・
《BPOの注意点》
1、BPO先の全ての成果物をチェックしているとコストが合わない
2、その企業にBPO先に仕事を回すスキルを持った人が担当にならなければ、BPO先を遊ばせてしまう
3、自社で既に出来き、それを新人社員でも出来る様に平準化(マニュアル化)出来る仕事のみを依頼する様に心がけなければならない。
4、あくまで、下請けに仕事をフルという感覚より、自社の社員に仕事をフル感覚で接してくれる所が上手く活用できている
インハナを見て一番思ったのは、上記の3の点を上手く、BPOの依頼者へ伝えている点である。
やはり、どこまで行っても異国の人へ、その会社の業務を委託するので、はじめは丁寧に教えてあげなければ成らない。
しかし、ここの凄い所は、再現性が存在すると言う事だ。
良く中国に物作りをしている企業の方が言うのは、中国には再現性が無いと言う話をされる。
一度目は、細かく発注内容を決めてモノをつくり、2回目に『前回と同じで!』と言うと全く別の物が作られると言う話を聞く。
その点、このインハナは売場作成の実際の指示書を見たが、メールにで企画の趣旨やどの順番にどの商品を掲載するかの指示があるだけでレイアウトやデザインは全てインハナで考えていた。
もちろん、はじめの内は意志の疎通が出来るまではかなり綿密に打ち合わせを行なったそうだが今では、上記の様な指示で特集ページが作成されてしまう。
本当に日本の新人を雇っているようなものだ!
しかし、冷静にインハナの人達の受け答えを聞いていると圧倒的に優秀な人達ばかりなのが直ぐに伺える。
つまり、アウトソーシングとして活用するのでは無く、理解力の高い優秀な、ネットショップ専門職の人財確保の方法として今後BPOの存在価値が生まれてきそうだ!
さらに、これはインハナの方も驚いていたが、私の支援先で1社既にインハナを使っている企業は、SEO対策などの未来の攻める仕事すらインハナに依頼してるそうだ!
そうすると、日本の企業は本当に企業にとってい一番大切な『商品力』だけに特化することが可能になる。
元々私は、外部委託が最も嫌いだ。
外部の会社の納期が遅れれば、成功しないなどと言う事は、その時点でギャンブルで経営をしているようなモノだと捕らえているからである。
しかし、今回訪問したインハナのように下請けとしてアウトソーシングではなく、人財確保としてアウトソーシングを活用するのは1つの手段として非常に有効的だと感じた。
特に成長期のため慢性的な人手不足のEC業界にとっては特にである。
日本のネットショップがこの様に『システム化』や『BPO』の活用を元に、日本人は『商品力』のみに特化することにより
再度、モノ創りの国として強くたくましくなってもらいたい物だ。
きっとネットショップの小売店なら、その『スピード』と『分析力』を元に世界に通用するメーカー再度、続々とでて来るだろう!
最後に、インハナで一番衝撃は・・・
インハナの中国人社員に『教えてもらえれば出来ない仕事はありません』と言われた事だ。
同じ日本でも、簡単に『それはできません』と言ってしまうなか・・・
異国の言語が違い国の仕事を『教えてもらえれば出来ない仕事はありません』と言い切る精神に感動するしかなかった。
※注意
これだけBPOが良いよと言ったが、もしも依頼する場合は、依頼することを決めていたとしても一度経営者とそれを実際に活用する担当者が現地に訪問する事をお勧めする。
そうでなければ、きっとBPOの活用に失敗すると思う。
と言う事で、もしも私の支援先を含め、10社前後成都に視察に行きたいと言う人が集まり次第、ツアーを組もうと思うので参加する人は私までご連絡下さい。
本日伝えたいこと:『既にもう一度、成都に行くつもりで、余ったお金は換金していない!』

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