
14カ国目はドバイ。
私のドバイに対するイメージと言えば恐らくみなさんと同じド派手な国。
やたらと世界1が多い国。
【ドバイの世界1たち】
高さ世界一の建造物
高さ世界一のホテル(当時)
世界最大のショッピングモール
世界最大の人工島
世界最大の噴水
世界最大の屋内スキー場
世界一広い国際空港
世界最長の無人運転鉄道
世界最大の観覧車
世界最大の映像装置
世界一長い救急車
世界最大の発電&淡水化装置
世界で一番大きいテーマパークなどなど
しかし、実際に現地を訪れて見ると・・・
立てたばかりのビルの1階にはテナントが一切入っていないビルだらけ。
ひどいビルはドアが開けっぱなしになっており、砂漠の砂が風に流されてテナントの入っていない空の部屋が砂まみれのビルまである始末。
ドバイについて20分程度で私のドバイに対するイメージが崩れ去った。
もちろん、現在もドンドンと新しいビルは開発され続けており派手さは実際に存在するが、上記の私が言っているのは開発が終わった地域の話である。
なぜ、この様なことが起こったのか?
それを知るにはドバイの歴史からおさらいしようと思う。
【ドバイの簡単歴史】
1、マクトゥーム家のお引越し
そもそも、ドバイとはアラブ首長国連邦という7つの国の連合国の1国である。
そして、アラブ首長国連邦のリーダーであるアブダビと言う国の貴族であるマクトゥーム家が現在のドバイの地に移り住み国として成立した。
分かると思うがこのマクトゥーム家は元々のアブダビでは重要なポジションをもらえて居れば違う国に移り住む必要はないわけで・・・
建国後もそこまで仲が良いわけではなかった様だ。
2、アブダビの油田発掘に続け
1980年までは人口28万人程度の小さな漁村として栄えていた小さな国だった。
しかし、1950年代にアブダビなど周りの国で油田が発見されるのをきっかけに自国でも石油が取れないか調べた所
1966年に見事、油田を発見に成功。
3、余命宣告を受けてからの大躍進
油田の発見に浮かれるのもつかの間・・・
石油の埋蔵量が非常に少ない事が発覚。隣のアブダビの23分1。
そこからドバイがとった政策が、オイルマネーに頼らない国づくり。
その為にオイルマネーが尽きる前に冒頭の様なド派手な観光資源をいっぱい作り成長を試みる。
この政策は初めは非常に上手くいく。公共事業が増えるので働き手が必要となり多くの人が集まってきて人口も今では300万人を超えた。
人が集まると自ずと国内経済も回るので、一時期はオイルマネーに頼らない成功事例としてもてはやされた。
4、空回りの末に助けてもらう
しかし、人口がドンドン増えるが故に土地代もドンドン上がり、さらに今後の土地の値上がりを期待して投機的にもさらに上がる。
するとテナント費用も上がるのでそこで商売をすると採算が合わない。つまり、そこには冒頭に話したように実態経済は存在しない状態が続く。
※もちろん、ビルを建てる人達が住んでいる居住区にあるスーパーや昔から栄えるゴールドスーク(市場)スパイススークなどは現在も活気がありそこには実態経済は存在する。
この様な状況が長く続く訳もなく。
2009年にドバイショックというものが起こる。
ドバイショックとは、政府系持ち株会社が5兆円お金を借りたけど返済を少し待ってほしい。と正式に発表。
政府の会社がお金払えないと言う異例の自体。
この時に助けてくれたのが、昔から勝手にライバル視をしていたあのアブダビだった。
この一件から、ドバイはアブダビに頭が上がらなくなったらしい。
5、アブダビのモルモットとして実験中
そんな失敗をしたドバイ。それでもなぜ今のビルを建て続けるのか?
ここからは憶測の域を超えないが・・・
アブダビの意向が大きく影響しているように思う。
ドバイの石油埋蔵量の23倍を保有するアブダビだが、構造的な問題はドバイと一緒。
つまり石油が尽きたら国のシステムが成り立たない。と言うのはドバイと何も変わらない。
そこで、アブダビは一度助けたドバイにさらに新たなビルなどをドンドン作らせて人口が膨れ上がった国が弾けたあとでどれだけの人口が残って、どれだけの実態経済が残るのか?これを検証する為の実験台としてドバイを使っているのではないだろうか?
実際に元々28万人のドバイが弾けた後に100万人でも残れば、国としては5倍に成長したことになり、その5倍の人口はそのまま5倍の消費を行い5倍の生産を行うことになるからだ。
【最後に】
元々ドバイという国はド派手で少し苦手なイメージがあったが
今ではなんとか上記のシナリオ以外の別の道を探しだして欲しいと思うまでになった。
10年後20年後のドバイの形は、一次的なカンフル剤にて組織を拡張させてその後、縮小しても元よりは大きくなっているのではないか?という仮説の元。
非常に乱暴ではあるが組織運営のやり方の1つとして面白いサンプルになるのは間違いない。
※この様な組織運営がやりたい、やりたく無いなどの議論は別として。
むしろやりたく無い人にとっては自分では確認することのできない結果なのでより有意義であろう。