効率の限界

2019.10.07

世界放浪記 17カ国目はベルギー

ベルギーの首都ブリュッセルにはルクセンブルクからバスで入国することにした。

電車でも行けるのだが・・・
電車だと、値段が2倍でさらに1時間も多く時間がかかってしまう。

この状況下で、バスを選ばない理由はない。
ルクセンブルクを10時に出発して→13時にはブリュッセルに到着する予定だ。
この日程であれば、午後からも街の散策など十分可能だ。

バス会社からは、出発の20分前に集合しておくように指示があった。
そこで、私は念のために出発の45分前には到着しておいた。

すると出発場所は大きな駐車場になっており。特にバス停がある訳では無かった。
多くのバスと私以外にバスを待つ人が多くいた。

灼熱の日差しが強い為、バスを待つ人は駐車場の直ぐ脇の日陰に身を置きバスを待っていた。
私の待つバスは緑のシンボルマークのバスだ。

9:45頃になると1台の緑のバスが敷地内に入ってきた。
するとそれまで周りで待っていた多くの人が我先にと、そのバスに集まって行った。

どうやら、この動いた人達は私と同じ10時発のブリュッセル行きのバス待ちの人達のようだ。
さらに、バスは指定席では無く、先に乗車した者順に席が決まるようで皆、我先にバスに駆けつける。

しかし、その緑のバスは同じバス会社ではあったが違う行き先だった。
その運転手に、私がブリュッセル行きか確認すると小さな声で
「バスは良く遅刻するからごめんね。きっとそのバスも遅れているんだよ」的なことを呟いた。

この緑のバスが敷地内に入場しては、待っていた人達、全員でバスに群がり行き先が違うのでまた元の日陰のある場所に戻ると言う民族大移動の様な光景が3回程繰り返された。

この時点で、時刻は定刻の30分を過ぎていた。
まだ、みんなはそこまで動揺していない。
恐らく、このような事はよくある事なのだろう。

しかし、それから緑のバスは一切入って来なくなり、定刻より1時間も遅れ出した時から、待っている人達のなかでバス会社に電話してクレームを入れてくれる人がいた。話している内容は聞き取れなかったがとにかく怒りながら電話している。それから10分おきごとにその様な人がでだした。

私は、この様な人も一緒に待っているうちは問題ないだろうと思いながら芝生で寝転びながら本を読んでいた。

しかし、遂に定刻から75分程遅れた時に一緒に待っていた2人が別の所に移動した。恐らく電車での移動を選択したようだ。
私も既にここに来て2時間も経っていた。あと30分待ってバスが来なければ、電車で移動することを決める。

すると15分ほどすると待望の緑のバスが敷地内に入ってきた。
会社も同じ、バスの番号も同じ。

私は、喜びバスに駆けつける。

バスの運転手に、チケットを見せると「このバスは違う」と言われる。
何を行っているのか理解ができない。

しかし、バスの運選手はとにかくこのバスでは無いから別のに乗れと言うだけ。
私は、「私の乗るバスはいつここに来るのか?」質問すると「知らない」と言う。

私も2時間以上待たされてこの対応はあんまりなので、「あなたは同じバス会社なのだからそれを調べるべきだ」と単語を繋げて伝えると何やら調べてくれた。そしてその運転手が言うには、「あなたの乗るべきバスは既に出発済みだ!」と・・・・

私は「それはあり得ない、私は定刻の45分前にはここにいたんだぞ!」と声を荒げて言おうとした・・・
その瞬間に、その運転手が私の発言を遮り、間髪入れずに・・・

「赤だよ!」
「赤のバスだよ!」
「うちのバスは緑だけじゃないよ!!」

と鋭利すぎるナイフで私の心を容赦なくさしてきた。

私は私で、その言葉の直前まで戦闘態勢に入りかけ・・・なんなら若干の語尾は強目になり、刀を鞘から出したくらいの瞬間で、今にも斬りかかろうとした所での上記の言葉。

完全に赤のバスは全てスルーしていた私。

心なしか小さな声になり「レット?」「レット?」を連呼するしか出来なかった。
気持ちは混乱しており、どこか納得はいかないが、この状況下はシタテに出ないと状況は回復しないことを動物の本能が悟り、手のひらを返したように丁寧に・・・

「では次のバスはいつなのかなぁ?(ニコッ!)チケットは取れる?」と確認。
しかし、次のバスがさらに4時間後に到着することを知り、仕方なく電車での移動を余儀なくされた。

バスのチケット代と時間を無駄にして・・・

なんとかブリュッセルに到着した時には19時。
予定より6時間は遅くなった。

近くのスーパーが20時までだったので慌てて、飲み物などの買い出しを終わらしてもう寝ようと思ったが・・・
あまり眠たくも無いので、夜の街を軽く散策することにした。
昼とは全く違う見え方がするからも知れないからだ。

街に出てみると直ぐに異変に気づく。
21時を過ぎているのに人だかりができており、大きな音がしている。

どうやらお祭りが行われているようだ。
ネットで調べると年に2日だけ行われるオメガングと言う街をあげてのお祭りの初日だった。

そのお祭りはとても大規模で・・凄い迫力で・・・海外からもこのお祭りを目的に来たであろう観光客が多く押し寄せていた。
祭りは夜中の24時近くまで行われた。

最終的には記憶に残る、とても素晴らしい1日を過ごす事が出来た。

しかし、恐らく予定通り移動でき、昼間にブリュッセリュの街を散策していたら、
20時までには家に戻り移動の疲れを取るために早めに寝る予定だった為、このお祭りに気づく事なくブリュッセルの街を後にしていただろう。

この出来事は完全に偶然生まれた産物である。

しかし、この出来事が必然的に私に訪れたとしたならば・・・
それは、私に「効率の良い選択の連続をし続ける先に世界が驚くような突出した結果は起こらない」と言うことを教えてくれている気がして来た。

効率的な選択を選ぶのであれば、AIや量子コンピュータなどを駆使し、大資本が行なった方が絶対に勝てる。
つまり、私の様な大資本を持たない者は初めから効率的な選択だけを選んではいけない様だ。

とは言え、ある程度の効率的な選択をしなければご飯も食べられない。
従って、今後はある一定の決断は非効率的(楽しい・好きなどの感情で動く)なものを織り交ぜながら進めていこうと固く誓った・・・
そんなベルギーの夜となった。

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我時朗(ガジロウ)
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