コンサルタントの役割は・・・料理でいう所の『塩』である

2020.12.25

先日お伺いした会社さんは通販の売上が昨年11月は3,400万円に対して、今年の11月の月商は1.2億円と昨年対比で約350%の成長だ。

この会社に対して、私が行なった事といえば・・・・

ほとんど何もしていない。
これは謙遜とかではなく。
本当に何もしていない。

この会社の社員のみなさんがバイイング、商品登録、販促施策、出荷業務等を昨年より350%頑張ったから達成された数字である。
その為に、部署をまたいでの人員リソースの強化など会社をあげて動いた結果だ。

もしも私がこの企業さん対して少しでも役に立てたとするならば・・・

「在庫をバーコード管理した方が良いですよ」と言う発言をした程度。
これしか役に立っていないだろう。

つまり、私は相当運が良いようだ。
こんな業績を上げてくれる会社さんに、業績が上げる手前で出会えて。

我ながら自分の運を褒めてあげたい。

所で・・・
話は変わるが、塩が一切入っていない料理を食べたことはあるだろうか?

調理科学なるものが徐々に確立されつつある昨今で。
(調理科学とは・・・塩分と糖が合わさると旨味成分を感じると言う事から、明太子の塩分とご飯のブドウ糖が反応して美味しいと感じると言う風に科学的に美味しさについてアプローチする学問)

味の99%以上は塩分濃度で左右されると言う人もいる。

私は以前にヒョンな事から塩を完全に抜いたダイエットを1ヶ月体験しなければならなくなった。
(完全に塩を抜くと体に害が及ぶのでミネラルなど必要な成分はサプリメントで補うと言うカリキュラムだ)

まず、衝撃だったのは私が大好きな食べ物が全て塩を抜くと死ぬほど不味いと言う事実。
お肉やお刺身なんて食べられた物ではない。

いかに塩のお陰でその素材そのものの力が引き出されているか思い知らされる。

さらに困ったのは出張中は食べるものが一切見つからないと言う事だ。
料理店はもちろん、既製品は全てと言って良いほど塩分が入っている。
塩抜きを初めてから、初めの3日間は食べられるものが見つからず、コンビニの納豆のタレなしだけでしのいだほどだ。

そんな生活を続けているとこれまでとは違う世界が見えてくる。
それは、『塩を抜いた状態で美味しい物ランキング』

これまでの美味しい物ランキングとは全く違ったメンバーが上位を連ねる。

1位レンコン
2位ゴマ
3位ブロッコリー
4位ごぼう
5位大根

要するに根菜なのだろう。
あとで調べて分かったのが、根菜には糖分が多く含まれているので素材の味が強い。
(それにしても、お腹が空いて気がつくとゴマを一粒づつ噛み締めて食べている自分の姿に気づいた時は一定の狂気を感じたものだ)

もちろん、レンコンやブロッコリーが元々好きな人はいると思うが・・・
焼肉(牛肉)、お寿司(刺身)、唐揚げ(鶏肉)などを抑えて1位に君臨する人は少ないだろう。

この経験を経て、如何に料理とは、素材の力×塩分で成り立っているかを思い知らされた。

この掛け算というのがポイントで・・・
どれだけ、素材の力が強くても塩分が0なら味は0になってしまう。

ここで話を戻そう。

本日話にでた月商が昨年対比で350%上がり、1.2億円になった会社さんも元々の企業としての力はあったが
構造的にその力を発揮できない状態だった。

私がバーコード管理を提案すると、その会社の専務さんは確かに必要ですね。と直ぐに理解してくれたが・・・
半年何も変化がなかった。

それもそのはず、上記を行うには、システム変更などに800万円前後の投資が必要であり、それよりも組織の変更も必要だったので直ぐには移れないでいた。

しかし、私は毎月訪問しては、上記の提案をするのみ。
普通のコンサルタントなら恐らく別の提案をするだろうが・・・
メンタルのバグっている私は一切変えない。
※もちろん、会社さんによっては提案内容を変えることは普通にある。組織が動けない提案をずっとし続けても何も結果が出ないからだ。

しかし、この会社さんに関しては、PLだけではなくBSも見せてもらっており、通販以外の事業部の外部環境が年々悪くなっていることを理解していた。
従って、私の見立てでは会社を立て直すには、バーコード管理へ移し変えて、通販の業績をあげるしか道がないと考えていたからだ。

そして、さらに今年のコロナショックまでは流石に私も予測していなかったが、今年から景気が落ち込むと予測していたのと
また、この様な大きなシステム移行をすると普通は大きく売上を下げることがあるのでそこまで織り込むと

その会社の体力を考えると昨年までにシステム移行を終えておかないと本当に取り返しのつかないことになる事が見えていた。

そして、半年しても動かないので私から「このシステム移行をしないなら通販事業を直ちに辞める意思決定をして、他のことにリソースを移しましょう」という提案をさせて頂いた。

そして、なんとか今年の初めにシステム移行が終わったと同時にコロナショック。
元々売上の約70%程度占めていた通販以外の事業の売上は約80%減少。

私は、システム移行に際して最悪、1〜2ヶ月は売上が半分になることもあり得るとお話していたが
この会社さんは一切落ちることなく順調に売上が上がった。
※これは私に連絡が来ていない細かいトラブルも含めて、絶対に多くの不具合はあっただろうが、それを最速で解決してくれたのだろう。

ただ、一方で今年私の支援先(クライアント)でこの様な爆発的な業績アップは起こっていない会社さんが存在するのも事実。

やはり、コンサルタントは料理において塩になることは出来るが・・・
あくまで塩の領域を超えないのも痛感した。

塩だけ食べても塩っぱいだけで誰も食べてくれない。

来年からは塩だけではなく、コンサルタントの領域を超越するように動きたいと思う。
しかし、素材(実務)の方に回るとやはり私個人の人的リソースの限界までしか業績は上がらなくなるので
もっと、素材を強化(採用や人が育つ仕組み)がしやすい環境作りに着手しなければならないのだろう。

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